フランス発・最強の無料プログラミングスクール「エコール42」【経験談あり】
IT Life in Paris / France programming
Salut!(やあ!)
Tsuneです。
先日、こういう発表がありました。
42 S’OUVRE SUR LE MONDE EN CRÉANT 42 NETWORK
引用記事 : Un réseau international (フランス語)
日本語に訳すと「世界中に42を開校し42のネットワークを作る」とのこと。
「42」が何かわからない人の方が多いと思うのですが、「42」(又は「l’école 42」、“l’école(エコール)”は「学校」の意味)とはフランスで最も有名で人気のあるプログラミングスクールの一つです。
その42が先日、「2020年までに、世界中に42を開校する」と宣言したのです。
そしてなんと、その中に「Japan(Tokyo)」が含まれているんです!
僕自身、42の入学試験「La piscine(“ラ・ピシン”、プールの意味)」に2018年の8月に参加しました。
残念ながら合格はできませんでしたが、僕のその時の経験を踏まえつつ、この記事では「42」について説明していきますね。
最強の無料プログラミングスクール「42」
「42」(フランス語では“キャロン・ドゥ”と発音)は、Xavier Niel氏(携帯電話・ネットワーク会社「Free」の創設者)とNicolas Sadirac 氏(IT学校Epitechの創設者)によって2013年に建てられたIT学校です。
最初はパリで次はアメリカはシリコンバレーに開校、現在ではフランス地方都市のリオン、ベルギー、モロッコ、ロシアなど順調に学校の数を増やしています。
出典:42ホームページより
42の特徴:
- 完全無料
- 年中無休(文字通り24時間、365日)
- フランスでは有名なプログラミングスクール
- 先生がいない (peer-to-peer learning)
- 約900台のMacがある
- 学歴・国籍不問
- 卒業まで3~5年を想定(1年で卒業した人もいるらしい)
- 入学試験がユニーク(La pisine)
- 国に認定された卒業資格ではないのに就職率100%
42のホームページ: https://www.42.fr/
上記の特徴を一つずつ解説していきます。
フランスにも多くの私立IT学校があり、そういう学校は学費が結構高いのですが、42は完全無料です。
学校は常に開いている状態なので、いつでも学校に来て自分でカリキュラムを進めることができます。
卒業まで3~5年を想定しているそうで、その間にカリキュラムを進めつつ、インターンシップやプロジェクトをこなさなければなりません。
カリキュラムをゲーム感覚で進めていき、最後に卒業資格が貰えますが、国からは認定されていません。ただし「国から未認定の資格」は特に問題にはなっていないと思います。
というのも、フランスのIT業界で「42」は有名で、42の学生は優秀という認識が広まっており、就職に困ることはほとんどないかと思います。なので、学校も「就職率100%」とうたっています。
フランスは言わずもがな、学歴社会です。最終学歴によって年収が変動しますが、そんなフランスでも「42の学生」という事が就職に有利に働くというのは驚くべき事だと思います。
Peer-to-peer learning
大きな特徴の一つが「peer-to-peer learning」。
peer-to-peer learningとは、ざっくり言うと「互いに協力(教え合う)して学習する」ことです。
42にはビデオ教材はありますが、学校には先生がいません。
「わからない事があれば、まずググる。それでもわからなかったら右の人に聞く、まだわからないなら左の人に聞く、それでも駄目なら前後の人に」
みたいな感じで、デバッグしていきます。
課題の採点はプログラム(機械)と他の学生が担当し、自分が他の学生の採点する事もしばしば。その採点制度や隣人に尋ねる過程で、教え合いが生まれどんどん技術が身に付いていきます。
よく、「人に教えることで、自分が学ぶ」と言いますよね。そういう事です。
900台のMac
各階に約300台のMacがあります。三階建ての校内には、約900Macが完備されていることになります。
出典:42ホームページより
因みに、なぜMacかと言うと「安かったから」と説明会の時に言ってました。
学歴・国籍不問
18歳以上であれば、だれでも入学試験「La piscine」参加可能です。国籍も問われません。
※2019年初期までは30歳までという年齢制限がありましたが、廃止されました。
※学生ビザを発行してくるのはわかりません、すみません。
入学試験「la piscine」
42の大きな特徴は、なんといってもユニークな入学試験「la piscine」です。
先にも言いましたが「プール」という意味で、このプログラミングの世界にどっぷり飛び込むという解釈でいいと思います。
Piscineには、プログラミング経験者だけではなく、初学者ももちろん参加可能ですし、女性の姿も見られます。
※42は女性プログラマーを増やすことに力を入れています。
2018年の8月に、僕もこの入学試験に参加しました。
Piscineは4週間の入学試験です。
その間にBashを使った複雑なコマンドライン、C言語の基礎を学ぶことができます。
教材ビデオやテキストはフランス語はもちろんですが、英語、スペイン語などもあります。
基本は一日おきに日ごとの課題を解いていきます。
確か「Day 13」まであり、毎週金曜日はテスト日、週末はグループワーク、個人用の超難問課題などが日が経つごとに開放され、できる限り課題を進めていくという流れになっています。
課題がクリア出来なければ、どんどん取り残されます。僕の場合は「Day 2」を終えるまでに1週間掛かりました。
僕が参加したときの試験では、当初900人近くの参加がおり、最終テスト日には600人前後まで数が減りました。300人近くが付いていけずにドロップアウトした事になります。
最終テストを受けた約600名中、合格できたのは250人前後です。
残念ながら、僕はその250人の中に入ることができませんでした。
深夜1時のPiscineの様子↓↓
※音量注意
上の動画では、42のスタッフが深夜のテンションで馬の仮面をつけて遊んでいますw
Piscineに参加する方法
まずPiscineに参加する流れですが、ホームページからPiscine用のアカウント(Candidate)を作り、オンラインでロジックのテストを受けます。
そのテストに受かれば、学校説明会に参加して(現地にいく必要があるかも)Piscineの予約を取れば、あとは参加するだけ。
開催されるのは、6月・7月・8月と2月(2019年時点)。
かなりの参加希望がいるので、1年待ちも珍しくありません。
夏の間だけ学校に寝泊まりする事が出来ます。
地方や海外からの参加者は、基本学校で寝泊まりしてましたよ。
Piscineに参加する時の注意点
Piscineに参加されたい方は、下記の点注意してください。
- USB付き(またはBluetooth)のイヤホン/ヘッドホンが必要。ジャックはダメ。
- ルールを守らないとお仕置きがある
- 一日一回はシャワーを浴びる(学校で寝泊まりする人は)
基本、ビデオ教材を参考に課題を進めるんのですが、周りに騒音が酷い為、イヤホン/ヘッドホンが必要になります。ただしジャック端子を使用すると、マシンが壊れるという理由でお仕置きにあいます。
他にも色々なルールが厳しく設定されていて、水をテーブルの上に置いてはダメ。校内での食事はダメ。画面を放置して長時間席を外すの禁止などがあります。
お仕置きの方法も色々あって、「入口に立ってみんなに挨拶する」「Mac300台のモニター掃除」「椅子の掃除」などをやらされている参加者を見ました。貴重な時間が4時間とか奪われてしまうので、試験進行に遅れが出てしまいます。
まとめ
以上が、パリにある無料プログラミングスクール「42」の詳しい情報でした。参考になりましたでしょうか?
2020年、東京に開校予定の「42」も基本は、パリ本校と同じような仕組みになると思います。
残念ながら僕は42に入学する事ができませんでしたが、この4週間のPiscineの間に、コマンドラインやC言語を学ぶ以外にチームでの作業の進め方やエラーの解決方法など、プログラマ-には欠かせない大事なスキルを学ぶ事ができました。
ですので、これからプログラマーを目指している人や自分のスキルを高めたい人にはおすすめの学校です。入学出来ずともPiscineに参加するだけでも色々な事を学び、吸収する事が出来ます。
東京でこのチャンスをつかむ事ができる未来のプログラマーは本当にラッキーだと思いますよ!