【フランス・職業訓練】働きながら学校に通うAlternance制度【体験談あり】

IT Life Life in Paris / France Work

Salut!Tsuneです。

「学校に通って新しい技術を学びたいけど、収入が途切れると経済的に不安」

もしくは、

「手っ取り早く技術を身に付けるには、現場で働くのが一番!、でも少し技術的な面で不安がある」

と思っていませんか?

皆さん、フランスにはAlternanceという「働きながら学校に通う」という制度があるのはご存知でしょうか?

僕は実際このAlternance制度を使って、Développeur PHP  (PrestashopというCMSのバックエンドのプログラマー)としてフランス企業で働きながら、Digital School of Paris という学校に通っています。(2019年8月現在)

今回の記事では、このAlternance制度について僕の体験談を交えながら説明していきます。

この記事を読めば、Alternance制度について理解が深まり、もしかしたらこの制度を使って「フランス企業に働きながら学校に通う」という未来が来るかもしれませんよ。

Alternance制度について

まずAlternanceとは、「交互に」とか「入れ替わる」という意味です。

日本語では「職場教室交替制」と訳すそう。

参考 ⇒ 働きながら学ぶ—フランスの挑戦

Alternanceの学習者側の目的は、DiplômeやTitre(国家免状:CAP、BTS、licenceやmasterなど)を取得することと、実際に働く事で職場を体験する/学習する事。

licenceは学士、 masterは修士のことを指します。

しかも、学習者は校に対して授業料を払うことは一切ありません。実質タダ。

企業側のメリットとしては、将来の就業者の育成、税金の免除、国からの援助などがあるみたいですね。

「働きながら学校に通う」と言っても、朝9時から17時まで仕事をして、その後22時まで学校に通うというわけではありません

というか、フランスで深夜まで空いてる学校はあまりないと思います。

僕の知る限りでは「école 42」ぐらいです。

「école 42」については ⇒フランス発・最強の無料プログラミングスクール「エコール42」【経験談あり】

学校と出勤のリズムは、学校や企業によって条件が違います。

例えば、よく求人などで見かけるのが「学校に2日、企業に3日」ですが、僕の場合は「学校に1週間、企業に3週間」と学業と修業を交代(alternance)しながら働いています。

Alternanceのcontrat(契約)について

Alternance雇用を企業と結ぶにあたって、2種類のcontrat(契約)があるという事を頭に入れておいてください。

  1. Le contrat de professionnalisation
  2. Le contrat d’apprentissage

Le contrat de professionnalisationは16才から25才の若者と、26才以上の求職者(demandeur d’emploi)を対象にした職業訓練(formation continue)にあたります。

Le contrat d’apprentissageは16才から29才までの就職未経験の若者を対象にしています。

因みに僕の場合は、アラサーで転職組なのでLe contrat de professionnalisationです。

Alternanceの給料

Alternanceで貰える月給は契約時の年齢と学歴によって変わります。

   Alternanceの給料表 ※2019年のSMIC(最低賃金)は1521.22€
年齢 bac(高校卒業)以下 bac(高校卒業)以上
21歳以下 SMICの55 % SMICの65 %
21歳から 25 歳まで SMICの70 % SMICの80 %
26歳以上 SMICの100%、又は 基本給の85 %(ただしSMIC以上になること)

 

この表を見てもらえば気づくかと思いますが、年齢が上がるほど貰える給料は増えます。

という事は、企業は能力値が同じ21歳と27歳の求人者がいたらどっちを採用すると思いますか?

もちろん、若い方ですよね。

同じ能力値であれば、出費を抑えられる(給料が少ない)若者の方が会社にとってはお得なのです。

参考URL ⇒ Service Public(フランス語)

Alternanceの探し方

さて、Alternanceの探し方ですが、いくつか方法があります。

  1. Alternance制度のある学校を探す
  2. IndeedMonsterl’Etudiantなどの求人サイトで探す
  3. 企業に直接交渉

それぞれ深掘りしていきます。

1. Alternance制度のある学校を探す

すべての学校ではないですが、多くの私立学校がAlternance制度を受け入れています。

学校のHPから説明会に参加したり、テストを受けたりして興味のある業種やDiplôme(学位)に応募します。

それらをクリアして学校が決まると、後は自分を雇ってくれる企業を探すだけですが、「雇ってくれる企業を探すだけ」が一番ハードです。

多くの学校では、有料でCV(履歴書)やlettre de motivation(自己PR文、英語圏でいうカバーレターみたいなもの)の書き方や企業の探し方を教えてくれる学校もあります。

学校のカウンセラーが企業探しを手伝ってくれることもありますよ。例えば、学校のパートナー企業に自分のCVを送ってくれたりしてくれますが、僕の経験上、学校のサポートはあてになりません。結局は自分で企業を見つけるしかないのです。

学校サポートで面接に繋がればラッキー!ぐらいに思っておいてください。

2. IndeedやMonster、l’Etudiantなどの求人サイトで探す

フランスにもIndeedMonsterl’Etudiantなど様々な求人サイトが存在します。

それらの求人サイト内のキーワード検索で「Alternance」や「contrat de professionnalisation」を打ち込んで検索してみると、関連した求人募集が表示されます。

それらの求人募集から興味あるものにCV(履歴書)とlettre de motivation (自己PR文)を送り付けます。

その後、求人担当者の目にとまれば、その担当者から連絡があり面接・技能テストへと繋がります。

企業から内定をもらえれば、Alternanceを受け入れている学校を見つけるだけです。

先に企業から内定をもらっている場合は、学校を探すのに苦労しないでしょう。注意する点を挙げるとすれば、「Contrat(契約)開始日の調整」と「出校と出勤のリズムが合う」か、そういう学校を見つける事でしょうか。

3. 企業に直接交渉

フランスでは、求人募集をしていない企業に直接交渉する事をcandidature spontanéeと言います。

この方法は、効果的な就活方法として紹介されることがよくあります。

僕もいくかの企業に直接CVを渡しに行った事があります。面接にまで繋がることは残念ながらなかったですが。

直接交渉の大きな特徴は、「Motivation(やる気)を伝えられる事」です。

そのMotivationに感銘を受けた企業が内定をくれることも少ないと聞きました。

求人担当者と話しをするなかで「Alternanceでも雇ってくれるのか」をちゃんと確認してください。

もし働いてみたい企業がIndeedなどで求人サイトで見つからない場合でも、直接CVを渡しに行くという方法を試してみてください。

人生なにが起こるのかわからないので。

僕の場合-内定を貰うまでの体験談。

僕の場合、仕事を探し始めてから今の会社に内定を貰うまで約5カ月掛かりました。

流れとしては、こんな感じです。

2018年9月にプログラマーのformation(職業訓練)終了。

2018年10月、CDD、CDI、Alternanceを視野に就活開始。

2018年10月、Alternanceの学校を見つける。

約150の求人募集に対しCVを送付。

合計で15~20の企業の面接を受ける。

2019年1月、なかなか良い返事が貰えず、日本食のレストランで働く事も考え、面接を受ける。

2019年2月末、最後のチャンスで受けた企業からAlternanceで無事内定を頂く。

現在(2019年8月)は、内定を頂いた企業でPHPのバックエンドエンジニアとして働く

ざっくり言うとこんな流れです。

2018年の9月までは、プログラミングの基礎を学ぶ為、無料の職業訓練を受け、その後就活を始めます。

就活では、とにかくIT業界で働くという「経験値」が欲しかったので、プログラマーの求人はもちろんですが、システムエンジニアの求人にも応募しました。雇用形態もCDD、CDI、Interim(派遣)、Alternanceなど、あらゆる可能性をしらみつぶしにあたりした。

CDD、CDDがわからない方は、この記事をご参考に⇒【フランスで働く】フランスの雇用契約-CDDとCDIについて【基本】

Alternanceの学校は直ぐに見つかりました。学校のHPから問い合わせをして、今のカウンセラーからすぐに連絡を貰い、面接した後に「頑張って企業を見つけましょう!」って話をして終わりです。

因みに、教育機関はInstitut F2iといい、学校名はDigital School of Parisです。

約150枚のCV(履歴書)をばら撒き、20社近くの面接を受けてもなかなか良い返事はもらえなかったです。

2019年の1月には、「やっぱり未経験で、しかも外国人だと、プログラマーとして働くは難しいのか」と半分諦めモードに入っていました。

養わないといけない家族がいるし、時期的にも収入がないとヤバい時期だったので、仕方なく日本食レストランでの面接も受けました。

そして、最後の最後、忘れもしない2019年の2月末に、今のパトロン(上司)から連絡があり、「うちで働いて欲しい」と言われました。

その時には、日本食レストランでも「是非働いて欲しい」と言われていましたが、目標にしていた職種であるWEBプログラマーの仕事を選びました。

まとめ

Alternanceは働きながら技術を学べ、無料で学校に通える素晴らしい制度なので、フランスの若者の多くが、この制度を狙っています。

はっきり言います、職種にもよるとは思いますがAlternanceで仕事を見つけるのは簡単ではありません。特に年齢が上がるほどに厳しくなります。

スキルのある若者と、このレッドオーシャンで張り合わなければならないからです。

でも諦めないでください。苦しくても、100回「NO」と言われてもちゃんと探し続けていれば、きっと良い結果が舞い降りてきます。

この記事が、少しでもフランスで働きたいあなたのお役に立てる事を願って。